たった12ピースのパズル


二人で観覧車に乗り込むと

突然崇が私を抱きしめてきた…


「崇…?」


「勝手にいなくなんなよ…」

今にも泣き出しそうな声でそんなことを言う崇の背中に

私もそっと手を回した…


「うん…ごめん」

「まじ焦った…。めちゃくちゃ必死で探してんのに…」

「うん…」

「あの先生と出てくるし…」

その光景を思い出したのか

抱きしめる力がギュッと強まった…


「…琉那、教師はないって言ったよな…?」

「うん、言ったよ?」

「電話で俺…あいつに惚れんなよって…」

「うん、聞いた…」

「頼むよ琉那…マジであいつだけは勘弁して…」

苦しそうな崇の背中を

精一杯優しくさすった…


「大丈夫だよ…大丈夫…」

そんなことを言わせてしまう自分の不断さに

胸を締め付けられながら、崇を強く抱きしめた…




観覧車を降りた崇はいつもの崇だった。


「あぁ!お土産とか買いに行かね?」と

みんなと肩を組み、楽しそうに走り出す


そんな崇を

後ろから見つめながら


「ごめん…」とまた小さく呟いた…




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