たった12ピースのパズル
帰りのバスの中
先生と少し距離を置こうと
行きとは違う、後ろの方の席に座った
特進クラスは参加者がほとんどいないのに
大きなバスで助かった…
ドサッと腰を下ろすと
一日の疲れからか自然と瞼が閉じ
いつの間にか眠りへと落ちていった…
ふと目が覚めた
まだバスに揺られてる…
何か飲むもの…
そう思ってカバンの中を探ろうとすると
頬にピタッと冷たいものが当てられた
驚いて顔を上げると
「これ、やるよ」
と小声で、先生がペットボトルのジュースを差し出してくれていた
「…いえ、自分のがあるので…」
そう断ると
先生は少し寂しそうに笑い
「そっか…」とそれを引っ込めた。
周りはみんな眠っていたり一人で音楽を聴いていたりするようで
ただバスが走る音だけが響いてる…
「高峰…?」
「はい…」
「あいつと…付き合うことになった?」
「え…?」
あいつって…
崇?
なんで…?
「観覧車って定番だもんな…お揃いのお土産も…」
先生の手が伸びて来て
チャリ…っと私の携帯についてるストラップに触れる…
「これは…」
かわいいと思ったものがたまたま崇と同じで…
確かに、色違いでお揃いって言われればお揃いなんだけど…
「別に特別な意味なんてないし、付き合ってない…」
「え…マジで…?」
「マジで」
そう笑うと
先生も笑った
でもすぐに表情を切り替えた
「だからって別に先生には関係ないですけど…」
冷たいと思われたかもしれないけど
崇のあの顔を思い出したら…
ハッキリしなきゃと思った。
「そうだな…」
先生はそう呟くと、前の席に腰を下ろし
学校に着くまで振り向くことはなかった…