たった12ピースのパズル


学校の近くまで来ると

さすがに人目が集まる。


キャーキャー言ってる声も聞こえるけど

タクは全く耳に入っていないように前を見て歩く


「琉那、先生ってどんなやつだっけ?外見」

チラッとこっちを見てそう言うタク


「え?えっと…顔はかっこ良い顔してる、背も高いし…スタイルも良くて、髪は黒で流してて…」

「…あいつ?」

タクが視線を向けてる先には…


先生…。


校門に立っていたようで

こっちを見て驚いたように目を見開いている


でもすぐにタクを睨むように見て…


隣でタクが「はぁ」っと少しため息をついたのがわかった。

「バレたらいけないとかいう概念より先にそっちを先行させちゃいかんだろう…」

呆れたように呟く言葉


「そっち?」

「琉那、やっぱりあいつはやめとけ。」

タクが真面目な顔して私を見る

「琉那は賢いんだ…ちゃんと大学に行けるんだから…な。」


「何言ってるのタク、私はそんな…ないよ。ありえない。」

教師とどうにかなるなんて…

そんなの絶対ありえないよ…。


恋なんかで人生狂わせるなんて…

そんなこと

絶対するわけない。



「…もう必要以上にあいつと関わるなってこと。」

そう言ったタクが

突然私を抱きしめた。


キャー!!という声と

なんだなんだという好奇の声が聞こえる


「タク…?」


「…彼氏できたって言っとけ。じゃあな…」

そう耳元で囁き私の頭を撫でると

タクは一人でまた来た道を戻っていった…


一人残された私は呆然とするしかなく

しばらくそこから動けなかった…



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