たった12ピースのパズル
「ふぅ~」
お腹一杯。
少し休憩しよ
そう思って伸びをすると
―ブーッブーッ
ポケットの中で携帯が震えた
途切れないそれは、メールではなく
電話であることを示している
ディスプレイを確認しなくてもわかる
始業式が終わって携帯を見た崇がかけてきたことが。
「出ないのか?」
タクにそう聞かれ
「うーん…」と少し考えてから
渋々でることにした。
「もしもし?」
「琉那?!せっかく来たのになんで帰ってるんだよ!」
怒ってる崇…
それが聞こえたのかタクが隣でクスクスと笑いだす
「いいじゃん別に。やっぱり暇だったの。」
「暇って…式で、新しい教師とか紹介されて結構盛り上がったのに」
崇はまだ教室にいるらしく、後ろがザワザワしてるのが聞こえる
「なんか特進の先生も新しくなったみたいだぞ」
「ふーん…」
別に教師なんか誰でも同じだしどうでもいいけど…
「…琉那のことだから別に…あれだけどさ…」
突然モゴモゴと口ごもる崇
「何?」
「…あいつに、惚れるなよ?」
「は?!ふっ…ないない。教師でしょ?ありえないよ」
そう笑うと
目の前のタクの表情が少し険しくなった
少し首を傾ける
「わかってるけど、一応さ…。あ。何か俺呼ばれてる。また連絡する!」
そう一方的に切られた電話を閉じてから
再びタクの方を見た。
「タク?」
「…頭ごなしに反対したくねぇけど…教師はやめとけよ?」
真面目な顔して言うタクに
ふっと笑顔を作る。
「大丈夫だよ。教師はないって。それより禁断の恋ならお兄ちゃんとの方がいいかな」
そうタクの頬に手を添えると
タクの表情が緩む
「ば~か。俺は妹には手出さないっつーの」
ぐしゃぐしゃと髪を撫でられ
二人で顔を見合わせ笑った。