ゼブラ
「被害者の男性とは、お二人とも全く面識は無いのですか?」
「そうだと何度も言っているだろう。あんな男は知らん」
「博士は生徒の顔も覚えてないじゃないですかぁ。勿論、私も知りませんけどぉ」
見た事も無い、と首を振る二人に嘘を吐いている様子は無い。それならばと、鈴木刑事は考える。
ならば、何故あの男はこの家の庭で死んでいたのだろう。不法侵入し、窃盗でもするつもりだったのだろうか。そして、何らかの原因で死んだのだろうか。
眉根を寄せて黙り込んだ鈴木刑事に、静かな声が掛った。顔を上げれば璃々子が小さく手を挙げていた。