ゼブラ
すっかり夜も更けた街中を、ヒールの硬い足音をさせて璃々子が歩いていく。
その姿は縞村家に居た時の様なメイド姿ではなく、闇に溶けてしまいそうな黒いパーカーに、ジーンズと至って地味で、肌の露出がまるでない。
璃々子はカバンから携帯を取り出すと、アドレス帳から派遣元へと電話をかける。数コールの後電話口に出たのは、彼女の担当マネージャーである坂井舞夕だった。
「あ、マユさんですか? 璃々子ですぅ、お疲れ様です」