ゼブラ
調査編
大理石彫りの縞村(しまむら)という表札。
それが掲げられた家の前に、何台ものパトカーが横付けされている。
「つまり、アンタ方の話を総合すると、こういう事か?
『帰ってきたら、知らない誰かが自分の家の庭で死んでいた』」
揃って仲良く頷く奇妙な目撃者二人に、警部の菊地原 周造(きくちはら しゅうぞう)は渋い顔をした。
今年で50歳になる彼は年齢以上に老けて見える顔を歪め、背後の部下を呼ぶ。
「おい、鈴木!」
呼ばれた相手は、二十歳半ばの若者だった。
先輩の刑事に何か教えて貰っていた彼は、菊地原に呼ばれたと分かるや直ぐに飛んでくる。
「はい! 警部、お呼びでしょうか?」
「お前、この二人の話を詳しく聞いとけ。何か分かったら俺か東(あずま)を呼べよ」
「はい! 分かりました!」