永久の贄[BL]
「そんなに辛い顔をするのは、やはりオレが信じられないからか?」


何も言わず彩十は力なく首を横に振る。違うとでも言いたいのだろう。

それなら尚更、そんな顔をしてはいけない。

それを言ったらまた彩十は“分かっている”とムキになるに違いない。

だから少しその感情を緩和させよう。


「お前が理由を話せと言うのなら。オレだって望みを聞いてもらおうか」

「…………何……?」

「呪いが解けたらお前に理由やあの夜言おうとした事を教えよう。
その代わり、お前は解けたら少しは腕を上げた味噌汁と、
お前自慢の粥を作ってもらおうか。雪や月花の手伝い抜きで」


今日初めて、彩十の弱弱しいけれど優しい笑みを見た。

彩十はどんな状況であっても、笑っていてほしい。

喜怒哀楽の感情、どれも好きだがやはり笑顔が一番似合う。少し安心した。
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