永久の贄[BL]
「……お出ましか」


また現れたと思ったのも束の間。すぐにいなくなった。

それを不審に思ったが、追い掛けようと必死になる雪を引き止め、このまま進む事を命じた。

オレ達の様子見か、はたまたただ偶然そこを通っただけ……ではないか。こんな場所。

気になる点は色々あるが、奴らに構っている場合ではない。むしろ何もしてこなかった事に安堵(あんど)する。

その後、村人達と遭遇する事もなく、無事に目的地までたどり着いたのは陽が橙色になった頃。

予定より少し遅くなったのは雪の事を考えての事。

感覚が鈍っただけじゃなく、何時もよりも走る速度が遅くなっているように感じたから。
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