永久の贄[BL]
「警告はした。だからお前が悪い。命までは奪わん。安心しろ」


しゃがみこんで肩を押さえ、震えている男の傍を通りすぎ、ようやくオレは村長と一対一で対峙する事が出来た。

もう話す事はあまりない。先程話したばかりだから。ただ言いたい事はある。


「彩十はお前達の苦しみを取り除く道具ではない。
言って応じて貰えるような奴じゃないと思っているようだが、今は昔とは違う。応じないオレ達ではない」

「ふっ……どうだか…………」

「信じる信じないはそっちの勝手だ。だが、彩十を死の淵に晒した罪は償って貰う」

「やはり殺すのではないか。良いだろう、ワタシが死んでもお前達の死は変わらぬしな。
鬼とはいえその失血が長く続けば力尽きる。それを届ける事は叶わないだろう」


村長は抵抗する事もせずただ目をつむった。妙に潔すぎる。

彩十が死なない限り命を奪う訳ではないのだが。

差しておいた小刀を取り出し、村長の鳩尾めがけ、それを思い切り突き刺した。
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