永久の贄[BL]
「それにしても、初めてですよね」

「…………?」

「長様がご病気になられるのは。怪我をする事はあっても、病気だけは鬼の血のおかげか一切なかったので」


その弟子の言葉が俺の疑問をあっさりと解決させた。

そうか、だから雪も月花も混乱したのだ。こうなった海理を見たのは初めての事。

だからどうすれば良いのかが分からなかったから。


「雪さんと月花さんに……お任せするのは厳しいですね。今は。
なので、彩十様にお任せします。薬は食後に一日三回。必ず守って下さいね?
明日の昼辺りにはババ様も様子を見に来られると思います」


淡々と弟子は白い包みに入った粉薬を渡してくれた。

薬代と診察代を出すと言ったけど、お代はもらわないそうだ。

それは海理が長だからである。長ってどれだけの権力を持っているのだろう?
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