永久の贄[BL]
着ていた服を自分で脱げるのに何故か脱ぐのを勝手に手伝われ、軽くうっとうしさを感じながらも、

薄暗い蒸された空間の中で、もうやって来ないだろうこの時間を胸に刻みながらゆっくりと堪能した。

正方形の小窓から見える半月が薄黄色に輝いている。最後に見る月は出来れば満月が良かっただなんて、文句も言えない。

喰われれば少しは月に近い位置に行く事になる。だからそれで我慢しておく事にしよう。

ふと思った事がある。異形の者と言うのだから、俺はもっと化け物を想像していた。

なのに、実際見てみてどうだ。ほぼ人間と変わりないのではないか。

耳が少しとがった感じがしていただけで。あれを異形の物と呼ぶには少し抵抗を感じる。

そもそも本当にあれは異形の者で、人間を食べる生き物だろうか?

いや。人間の皮を被っている化け物に違いないだろう。根拠はないが。
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