永久の贄[BL]
「身を清めろと言ったが、長時間もかけてやれとは言っていない。素早く出来なかったのか?」


風呂からあがり、用意された白装束を着ている最中、異形の者の片方がそう俺に不満を垂らして来る。

俺に言わせれば制限時間なんてなかったから、

それを言わなかったそっちが悪いと思うのだが。

しかしそれを今ここで言ってしまったら、命が尽きる時間が早まるだけだ。

やめておこう。それにしても白装束とは。着ると改めて死が迫っている事を実感してしまう。


「さあ、こっちだ。長が待っている……と、その前に」


いよいよ“長”とのご対面と言う時に、文句を言わなかった異形の者がふところから小瓶を取り出し、それを俺に差し出した。

無言のまま、まるで“飲め”とでも言っているようだ。

これで飲まなかったら何をされるか分からなかったから、

俺は少し疑いがらもそれを一気に飲み干した。……何だ、普通の水じゃないか。妙に拍子抜けしてしまった。
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