*極甘彼氏*
翔に手を引かれながら
覚束ない足を動かした。
翔の足が止まると
視界もハッキリしないうちに
そよそよした風で屋上だと確認できた。
「どうした?」
いつもの優しい翔…
私が手で顔を覆っていると
それを優しく手で握り下ろした。
「夏歩、言ってみろ。ちゃんと聞いてるから」
そう、翔はこういう人…
「夏歩が昼来なかったのには理由があるんだろ?」
「…ぅ…」
優しくて
いつも私より
私の事を分かってる。
それが翔……
「…し…ょうは…」
私はいつも先走ってしまうから
勘違いも多くて、めんどくさくて
泣き虫だから…
「…わ…私の事…す…っ…き…?」
愛想つかされても仕方ない……