*極甘彼氏*


翔に手を引かれながら
覚束ない足を動かした。


翔の足が止まると
視界もハッキリしないうちに
そよそよした風で屋上だと確認できた。



「どうした?」


いつもの優しい翔…

私が手で顔を覆っていると
それを優しく手で握り下ろした。



「夏歩、言ってみろ。ちゃんと聞いてるから」


そう、翔はこういう人…


「夏歩が昼来なかったのには理由があるんだろ?」

「…ぅ…」


優しくて

いつも私より
私の事を分かってる。


それが翔……



「…し…ょうは…」


私はいつも先走ってしまうから
勘違いも多くて、めんどくさくて

泣き虫だから…


「…わ…私の事…す…っ…き…?」


愛想つかされても仕方ない……



< 51 / 60 >

この作品をシェア

pagetop