すみれの花
そのまま眠り、朝になった。
さすがにお腹が空いたので身支度を済まし朝食へと向かう。
…Σ
朝食の席に居合わせたちが驚く。
元々異常に器用な奴らだからもっとも顔には出さないけど。
そんな素振りを見せたつもりはないのに、
俺が一日中泣いていたのに気づいているらしい。
気づいていてあえて何も言わない俺の兄弟たちのやさしさに感謝しつつ、
俺は黙々とトーストを食べた。
足取りの重い学校への坂道。
何度も立ち止まりそうになったけど、振り返りもせず真っ直ぐ歩いてゆく。
もう、ちゃんと決めたから。
放課後、俺は百合子を屋上に呼び出した。
俺が屋上に行った時、百合子は既にそこにいた。
「百合子…、…あのさ…さ…、「言わなくて、いいっ!」
大きな声をだした百合子が俺の言葉を遮った。
「言わなくて、いいから…。 言わなくても、分かってるから。……別れよう、って言うんでしょ?」
百合子の目が俺に訴える。
「……うん。…ごめん。」
そう俺がはっきりと言った時、百合子の頬に涙がつたった……気がした。
でもふと我にかえった時はすでに百合子は笑っていて、
「呼び出された時から、なんかそんな気がしたんだ。じゃあもうサヨナラ、だね。拓哉のこと、ほんとにほんとに好きだったよ。バイバイ。」
そういって背中を向けると、百合子は足早に屋上を後にする。