すみれの花
始業式
「おはよー!」
朝から元気な声が行き交う学校は、
久しぶりでなんか新鮮。
車からエスコートされて降りたすみれは、
そんなガヤガヤとした学校にため息をついた。
都内のお金持ち学校と言われる中高一貫の学校。
生徒はみんなお嬢様・ボンボンだらけだけど、
私はまたレベルが違う。
世界中にマーケットを持つあの小野寺財閥の娘だから。
つまり超がつく金持ち。
だから毎朝執事さんがリムジンで学校まで送ってくれるなんて当たり前。
「あっ!すみれ!やっと来た~」
去年同クラだった胡桃に声を掛けられた。
「すみれ~、ウチら違うクラスだったよぉ~泣」
……ふーん…
そっか。…今日から高校生だ…。
中高一貫だと高校デビュー!という感覚がいまいち分かんない。
「私は1組ですみれは2組。クラス離れちゃったけど、これからもよろしくね!」
「…う…ん。」
笑顔で言った胡桃に私は曖昧な返事しかできなかった。
胡桃…。
去年同クラでしつこく私にこびってきた子。
私を無理やり誘っては男子校の文化祭に連れまわし、
文化祭で声をかけてきた他校イケメン高校生と付き合い、今もらっぶらぶらしい。
つまり目立つあたしを連れまわして
たくさんナンパされるのが狙いだったわけね。
私の必要価値なんてそんなもん…か。