すみれの花
1時限目は体育。
初っぱなから運動。
「本日は、バレーボールをやります。隣と2人組になって、パス練して!始めっ」
体育も席順でならんでるから
私の相手はまさかの中貴原。
(うわっないわ~)
宣戦布告されてからこんなにも早くにバトルの火蓋が切って落とされるとは…。
当の本人は、ニヤっと口角をあげて笑っている。
(やる気、満々…ι)
こうなったらやるしか、ない。
私はジャージの袖をまくって気合いをいれた。
中貴原がボールをパスする。
落っことして連続パスを断った方が敗者だ。
私は中貴原からのパスを拾い、返す。
元バレー部。
悪いけど本気でいかせてもらうよ!
もう何十回目かのパス。
さすがに腕がジンジン痛んできた。
「うわっ見て~!すみれちゃんと拓海くん、凄っ」
「ほんとだ~!絵になるわ~!」
ギャラリーが騒ぎ出したとき、
パスが途切れた。
両者ともひどく疲れてたから引き分け。
「すみれ、やるねえ。」
「そっち…こそ…」
お互い息咳ききりながら呟いた。
「次は負けないから。」
中貴原はそう言い残すと、ツンっと去っていった。