すみれの花
*中貴原*
あっちゃ~…
俺、なにやってるんだよ…。
彼女を助けて傷をちょっとでも癒やしてやれたら、
って思ってただけなのに…
襲われてもなお“大丈夫だ”
と言い切る強い彼女をみて、
“好き”という気持ちが溢れて止まんなくなってしまった。
……
だからって、
いきなりすぎるだろ!
恋愛に対してウブだといっても、
さすがにあれは無理すぎた。
もしかしたら俺がやったことは、
すみれにとってあの男がやった事と同じなのかもしれない…。
「明日から、どんな顔して会えばいんだよ……」
そうつぶやくと、中貴原は道で一人立ち尽くした。