すみれの花

意外な出会い



先生が出席確認を始めようと、出席簿を開いた。

その瞬間、
ガラッ
と大きな音をたててドアが開き、
ハア、ハアと息せききった男の子が入ってきた。

「先生、俺って出席確認まだだから遅刻はギリギリセーフっすよね!?」

そんな様子に先生はため息をつき、

「残念だが遅刻だ。名前は?」
と聞いた。
男の子はちょっと拗ねたように口をとがらせて、
「25番の中貴原です」
と小声で呟いた。

そんな彼に、クラスの女子がキャーキャー湧いた。
とんでもないイケメンだったからである。

あーたしかに。
髪の色素は薄く、つぶらな瞳と長いまつげ。
身長175cmで細身。長い足…。
一見して王子顔。


たしかに見たくれは悪くない。
それに、もともと女子とは王子さまに弱いイキモノである。
騒がれるのも当然か…。



< 6 / 47 >

この作品をシェア

pagetop