すみれの花
ホームルームが終わり、みんな帰る支度をし始めた。
突如としてガヤガヤしはじめた教室。
この時間がいわば“友達の輪広げよう!タイム”。
「俺の名前は中貴原 拓海 これから隣、よろしくね~」
といきなり隣の住人が頼んでもないのに自己紹介し始めた。
「えっと~私は小野寺 すみれ。うんよろしく」
とまた外面スマイル。
「すみれかあ、綺麗な名前だね。」
彼にとって私はあくまで“友達”であって、
“恋愛対象”じゃないのが居心地が良かった。
王子顔でしかもフレンドリーだなんて、
世の女の子はみんなキュン死しちゃうだろうね、きっと。笑
そんなたわいのない事を話していると、
いつの間に私と中貴原の周りに来たのか、
クラスメートが話の輪に入ってきた。
「うわ~中貴原、すみれちゃんと隣とかうらやま~」
「ね~っでも2人、超お似合いだよね~! なんか、王子さまとお姫様、みたいな!?」
「わかるわかる~!悔しいけどお似合い」
と勝手な事を話している。
悪いけど、そういうの迷惑。
いや恋愛対象外だから。てか恋愛ってなに?
そんないいもの?
そんなイライラを、まさか外面クイーンが出すわけにはいかず、
とりあえずニコッと笑っておくことにした。
隣を向くと、中貴原も苦笑いという感じで、
「すみれは俺には敷図高すぎる~笑」
と上手い冗談を飛ばしている。
しかしそんな冗談も軽く流したみんなは、
中貴原の机に私と中貴原の絵を書いたり、
あいあい傘のマークを書いたりとイタズラし放題。
そんなこんだでみんな教室から次々と出て行く。