hair salon 『K』
《見たことない表情…》
「金野さん聞いて!!小宮山君ったらね、昨日部活中に顔洗いに行ったんだけど、そこの蛇口が壊れてて、全身ずぶ濡れで帰ってきたの!!」
「そうなんですか!?」
「先輩っ!!」
「そうそう、それにね〜…」
日南さんから聞く初めての話は…
彼と、私の距離を感じさせるものだった。
《なんか…泣きたくなってきた…》
私は顔をうつ向けて、ひたすら降りる駅を待った。