hair salon 『Ｋ』

「揺さぶりかけるかな…」

黒田さんはそう言って、私を携帯のカメラで撮った。

「なっ!?」


「ふんふんふーん」

わざとらしい鼻歌を歌いながら黒田さんは携帯をいじった。


「送信完了!!」


「まさか…」


「送信相手は涼太だけど？

多分すぐに返信くるだろうな〜」


黒田さんがそう言うと、携帯が震えた。


しかも、長い。


「まさかの電話か…」

黒田さんは苦笑いを浮かべながら電話に出た。


「もしもし？

…普通のメールだろ？

ははっ!!大した意味なんか無いって!!


…お前のだもんなぁ…


…いっそのこと、昨日せめてみたら良かったのに。


あ〜うるさいうるさい!!」

黒田さんは耳元から携帯を離して、私に差し出してきた。