hair salon 『K』
「ところで…最上さんの恋はどうなりました?」
「まだまだです…
今日なんて、ライバルの人が涼太をデートに誘ってました…」
「ええ!?」
桃川様は大きく目を見開いた。
「が、頑張ってくださいね?」
「頑張りたいんですが…やっぱりショックです。
好きな人が、違う人とデートなんて…もし上手くいっちゃったら、諦めるしかないんですかね…」
私の目線は地面に送られていた。
「最上さん」
桃川様に呼ばれ顔を上げると、桃川様はにっこり笑っていた。
「最上さん、私が最初に来た時のこと覚えてますか?」
「桃川様が最初に来店された時…?」
「私に、失恋はどこからか教えてくださったじゃないですか。
そのおかげで、私は今、好きな子と付き合えています」
「あっ、あの話ですね」