hair salon 『K』
「お見送り長くないか?」
「そ、そうですか?」
カウンターを挟んで黒田さんと向き合う。
「…何話してたんだ?」
「言えません。
ただ…元気をもらったって感じですかね。」
「お客様に元気づけられてどうする。」
そんなことを話していると涼太がやってきた。
「おー涼太
蒼井さんは?」
「帰られました。
ていうか黒田さん…何であんなこと言ったんですか?」
「何のことだ?」
ニヤニヤ笑う黒田さん。絶対にわかってるくせに。
「とぼけないでくださいよ。
明日のことです。本当に約束したんですよ?」
「おーいいじゃん。じゃあ俺らもデートするか?茜」
「黒田さん…」
私があきれていると涼太は
「黒田さん、いい加減にしてくださいね?」
笑いながらも怒っていた。