hair salon 『K』
仕事にならない
「………」
はあっと何度目かわからないため息をついた。
「あーかーね。ため息つきすぎ。
それと同時に手も止まりすぎだ。」
黒田さんがパコンとバインダーで私の頭を叩いた。
「すみません…」
「まあ気になるのもわかるけどな。
今頃どうなってるかね、涼太と麻百合さん。」
「知りません‼」
私は黒田さんを睨んで、そっぽを向いた。
「おー怖い怖い」
黒田さんは笑いながら奥に入って行った。
今日は、麻百合さんと涼太がデートしてる…
どこで何をしてるのか、何も知らない。
それが逆に怖くて、不安で…
《こんなんじゃ仕事にならないよ…》
私は頭を抱えた。