hair salon 『K』

いつの間にか店内に出てきていた黒田さんが私の首の横から顔を出した。


「暇だー」

黒田さんがさっきまで緑山様が座っていた椅子に腰をかける。


「仕事してください。」


「さっきまでしてたんだよ。今はちょっと休憩」


「黒田さんのちょっと休憩は長いんですよ。」


私はチリトリでゴミや、髪の毛を回収した。



「……なあ茜。大事な話があるんだけど、ちょっといいか?」


「え?」


「すぐ終わるから。こっち来てくれ」


黒田さんは立ち上がって、事務所に入っていった。


私はチリトリなどを邪魔にならないよう片づけ、黒田さんの後を追う。


「…何ですか?」


黒田さんは真剣な表情をしている。


「あのさ…茜」


「は、はい…」


「…俺たち真面目に付き合わないか?」



< 178 / 212 >

この作品をシェア

pagetop