hair salon 『K』
意外な来客
午後になり、閉店時間が近づいてきた時、お客様が入ってきた。
「いらっしゃいま…せ…」
そこには…
「今日は、あなたを指名するわ…」
麻百合さんが立っていた。
黒田さんがにこやかに麻百合さんの元へ行き、アンケート用紙を差し出した。
そして私の元にやってきて、すれ違いざまに
「面白くなってきたー‼」
と小声で言った。
「面白がらないでくださいよ…
どうしたんですかね…」
「さあ?心境の変化じゃないか?」
「そんな心境の変化ですか…
だってあの方、私をライバル視していたんですよ!?」
「うーん…涼太にアピールするより、茜を排除した方がいいって考えたんじゃないか?」
そんな心境の変化だったら、変化しないでほしかった…
黒田さんは麻百合さんの元に行き、指名を尋ねる。
麻百合さんはやっぱり、私の方に指をビシッと向けてきた。
麻百合さんがどんどん私に近づいてくる。
心臓が大きな音をたて、心なしか、冷や汗まで浮かんだ。