hair salon 『K』
「蒼井様、こげ茶のショートにいたしますが、よろしいですか?」
「…ええ」
私は麻百合さんの承諾を得ると、カットの用意を始めた。
準備ができてからシャンプー台へ…
丁寧に洗い、元の椅子に戻ってもらった。
そしてついに麻百合さんの長い髪にハサミを入れる。
最初は少し雑に切り、ある程度の長さまでいったら、細かくハサミを入れて微調整を行った。
数十分後…麻百合さんの頭はずいぶんスッキリした。
「では、カラーリングをさせていただきますね」
「はい」
私はカラーリングの準備をし、開始する。
麻百合さんはずっと、雑誌の方に目を向けていて、自分の髪がどうなっているか見ようとしなかった。
「……できました。」
カラーリングも済み、私がそう声をかけると麻百合さんはようやく雑誌から目を離した。
「………」
「いかがでしょう…」
私が緊張しながらそう尋ねると
「…いいわ。ありがとう」
「‼
…はいっ‼」
私は嬉しくなって笑顔で返事をした。