hair salon 『K』
私は着替えるために奥に逃げ込んだ。
《わー‼もう‼恥ずかしい‼》
急いで服を着替える。あんなシーンを人に見られて平気でいられるわけがなかった。
着替えを済ませて部屋を出る。
外に出るには、一度、涼太と黒田さんがいる店内に行かなければならない。
私は小走りで
「お疲れ様でした‼」
と言いながら、涼太と黒田さんの前を横切った。
「あ、おい茜‼」
涼太が止めるのも聞かず、私は店から出て逃げるようにして帰った。
「あーもう…最悪だぁ…」
さっきの言動で、私が涼太を好きだってことはばれてしまったと思う。……涼太が鈍くなければ。
明日からどうやって接すればいいのかわからない。
「仕事に専念して…涼太と関わらないようにすれば大丈夫、うん。」
自分を自分で慰めながら、家に向かった。
夜空には雲ひとつ無くて、満月がきれいに輝いていた。