hair salon 『K』
「黒田さんを気にするか…」
「え?」
「別に?
ていうかもう手遅れだぞ。
ドアの隙間から覗いてるからな」
涼太がそう言うと、
「何だよ、気付かれてたのか」
と、黒田さんが苦笑いをうかべながら出てきた。
私は慌てて涼太から離れる。
そんな私を見て、
「今頃離れたって遅いぞ、茜
他の奴らにも見せてやろうと思って写真も撮ったからな」
黒田さんはポケットからデジカメを取り出して私に見せた。
「く、黒田さん!!すぐに消してください!!」
「嫌だ。こんな取って置きの切り札消せるか」
「なっ!!」
私が絶句していると、涼太が
「黒田さん、俺の彼女で遊ばないでくださいよ」
「何だよ涼太、独占欲強いなぁ」
黒田さんはケラケラ笑ってデジカメを再びポケットにしまった。
写真を消しはせずに。