hair salon 『K』
「で?何しに来たんですか。茜はもう俺のですからね」
涼太がそんな恥ずかしいセリフを言って、なぜか黒田さんを威嚇する。
「涼太、言っておくけど、俺は茜に気がある訳じゃないぞ?」
「え…でも茜とデートしたじゃないですか」
「ああ、あれはお前たちがなかなか進展しないからな。
ちょっと俺が茜に気のある素振りを見せたら動くかと思って。まさかこんなに急展開するとは思ってなかったけどな」
「はああ!?」
涼太はその場にへなへなとしゃがみこんだ。
「ちなみにあのデートはハサミを買いに行っただけだ。
それはそうと茜。指名入ってるぞ」
「そういうことは早く言ってください!!」
私は慌ててお店に出た。
「あ、最上さん!!お久しぶりです!!」
「金野様!!」
以前シャンプーをした金野様の姿があった。
「少し髪が伸びたので最上さんにお願いしたくて…」
確かに金野様の髪は、肩につくかつかないかまで伸びていた。