hair salon 『K』

爪をたてないように優しく…


シャンプーを流して金野様に席に戻っていただいた。


ドライヤーで金野様の髪を乾かしていると、不意に金野様が

「最上さん…何かいいことでもありました?」


「え!?な、何でてすか?」


「なんとなく雰囲気でわかります」

柔らかい笑みを浮かべながら金野様はそう言った。

「実は…恋が実りまして…」


「本当ですか!?」

金野様が急に振り返ったので、顔にドライヤーの熱風をかけてしまう。

「こ、金野様!!大丈夫ですか!?申し訳ありません!!」


「大丈夫です!!それより詳しく聞かせてください!!」

金野様は目を輝かせながら私を見つめる。


「……わかりました。」


「やった!!」


「ただ、前を向いてください」

私がそう言うと金野様はすごい勢いで前を向く。


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