hair salon 『K』

「そしてこれが証拠写真だ!!」

黒田さんはいつの間にか現像していたあの写真をスタッフ達に回した。


「いつの間に…!!」


「重宝しろよー。俺がこっそり撮って、茜の手からなんとか逃れた写真達だぞー」


「達…?てことは複数枚撮ったんですか!!」


「おっと…」

黒田さんは私と目を合わせようとしない。


「…消してください」


私がそう言うと横から涼太が

「黒田さん、焼き増しして俺にください」

なんて言い出した。

「りょ、涼太!?」


「だって茜を抱きしめてる写真なんか、第三者がいなきゃ撮れないだろ?」


「涼太ー、焼き増しなんかしなくてもたくさん写真はあるぞ」

黒田さんはポケットからごっそり写真を取り出して涼太に渡した。


「涼太…今後一切、私に触れないでね」


「茜!?」


「黒田さん、もう話は終わりましたか?」


「あ、ああ…」


「じゃあ私は帰ります」

私はスタッフ達と黒田さんに頭を下げて、帰り支度をしてからお店を出た。


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