hair salon 『K』

「ご、ごめん…」

「人騒がせだなぁ、茜は。

黒田さんも怒らせたと思って顔真っ青だったぞ」


「……いいよ、黒田さんは。そのまま誤解させておこう。」


「お前…」


「それより涼太……一緒に帰らない?」


「帰る」

涼太は立ち上がって、お店の方に向かって走り出した。


「そこで待ってろよ!?すぐ戻る!!」

一瞬振り返って、涼太はますますスピードを上げた。


私は小さく笑って涼太が戻るのを待った。



しばらく経つと、こちらに向かって走ってくる人影が…

「お待たせ!!」


「…早いね」


「そりゃあ…な」

涼太は照れくさそうにそう言って、私に手を差し出した。


「ほら、行こう」


「……うん!!」

私は涼太の手を取って、歩き出した。


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