hair salon 『K』

「あ、そういえば涼太」


「ん?」


「麻百合さんの話聞いてないよ?」

涼太の顔をのぞくと、冷や汗を浮かべていた。


「覚えてたか…」


「聞かせてくれるんでしょ?」


「あー……あのな、昨日麻百合さんと出かけただろ?」


「デート」


「…はい、デートしました」

涼太は申しわけなさそうにうなだれた。


「それでな、その…帰りに告白されたんだよ…」


「………」


「そのとき俺は、『茜が好きだから付き合えません』って断ったんだ。

で、昨日麻百合さんが店に来たって言っただろ?だから、麻百合さんが茜に俺の気持ちバラしたんじゃないかって…あと茜に嫌がらせでもしたんじゃないかって……」


「……涼太」


「はい!!」

私が名前を呼ぶと、涼太は姿勢を正した。


「今まで麻百合さんは涼太のことしか指名してなかったよね?」


「……はい」

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