hair salon 『K』
「……私は…可愛くないですよ…」

手をギュッと握って下を向く。


そう、私は可愛くない。


可愛いって言われても嬉しくない。

だって…


中川君は私を選んでくれなかったから。


「……本日はバッサリ切るのをご希望されてるんですね。」


「はい。」


「理由を…よろしければお聞かせ願えますか?」

こんなことを知り合って間もない人に言うのは普通は気が引ける。


けれど、最上さんになら、言えるんだ。


「……ベタですけど、失恋したからバッサリ切ろうかな…って思ったんです。

だからショートカットにでもしてください。」


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