hair salon 『K』
髪を洗って、さっきの席に着いたらカットが始まる。

「……桃川様は、失恋なさったんですよね。」

グサッと胸に何かが突き刺さる。


「はい…」


「あの…私も好きな人がいるんですけど、どうなったら失恋なんですかね?」


「え…それは…」

器用にシャキシャキと髪を切りながら最上さんは考え込む。


「告白してはっきり振られちゃったら失恋確実ですけど……女の人と食事してる所を見たら失恋なんでしょうか?」

私と境遇が似ている。

「それは…失恋でしょう。」


さっきのシーンを思い出してしまう。

< 25 / 212 >

この作品をシェア

pagetop