極超短編劇場
私の部屋には大きな水槽が有る。

別れた彼氏が付き合っている時にプレゼントしてくれた物だ。

部屋の灯りを消すと水槽を通した光りが柔らかく切なく部屋を照らす。

今週の日曜には水を換えなきゃ。

観ている分には安らぐのだが、綺麗に保つには重労働が必要だ。

全く迷惑な物である。

水槽の中は水草だけがユラユラと茂っている。

まるで森の様。

ポンプが水中に酸素を送る、コポコポと云う音が心地よい。

『二人でこうしてると何だか湖の中にいるみたいだな。』

でも今、ここに居るのは私だけ。




水の中の森

水槽の部屋

思い出で出来た湖

そこにたゆたう私は青い魚
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