極超短編劇場
呼吸が見える…

そんな風に考えたら急に白いモヤモヤが愛おしくなった。

夕方から降り出した雪に、はしゃいで、散歩に出かけて、ふと思ったのさ。

隣を歩く彼から出る呼吸は、ますます大きくなる雪のひとひらと、ひと時戯れて。

また、大気にまざって消えた。

「どうかした?」

彼の問い掛けに頬が熱くなる。

あまりに見つめ過ぎた様だ。

「雪、大きくなってきた。」

なんて、ごまかす。

見慣れた駐車場が今は白い広場。

そこに列ぶ二列の足跡と、愛しい白い雲。

ほんの一時

混じりけ無しの



幸せな瞬間
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