Perfume〜時の調香師〜
「俺が王様を連れてきてやる!」



そう言ってウィルヘルムは王様のいる部屋に行った


「エルレナ、ひと吹きしてごらん!……」


シュッ…


香りが充満した
エルレナは…


「私伝えるわ…」





「連れてきたぞ!エルレナ」

「エルレナ、どうしたんだ?」


「あっ……」


少しまだ戸惑いがあった。だけど香水を握りしめ…


「お父様は覚えていますか…?私との約束を」


「約束…?」


「覚えてないんですか…?母の命日にランチ…」

エルレナは泣きそうになりながらも気持ちを伝えていた


「なぜ!私の約束は守ってくれなかったの!お父様」


勇気を出したのか、はっきり王様に伝えた


「私…母の好きだった庭でランチしたかった。私と母忘れないでほしかったから命日にしたのに!」


そうだったのか…


「エルレナ、私は母も、エルレナも忘れてはいないよ」


「だったらなぜ…?!」

「私だってエルレナとランチをしたかった…久しぶりにお前がねだってきたから嬉しかったが…」


王様も嬉しかったんだ。娘がねだってくれたことを…


「だがエルレナ、私は怖かったんだ。最愛の妻をなくし…やっと立ち直れたときに、エルレナに母の命日に好きだった庭でランチをしようと言ったとき…私は思ったんだ」


「お父様……?」


王様は泣いていた


「また妻をなくした時の悲しみが蘇ってくるようで…怖かったんだ。だから約束を忘れた振りをしたんだ…」


「そう…だったんですか…?」


「母を忘れたことなどないよエルレナ、お前も私の宝物…すまなかった…本当のことを言わなくて…」


俺とウィルヘルムは満足そうにエルレナをみた。エルレナも嬉しかったのか泣いていた


「ごめんなさい…お父様」


「またランチをしよう…エルレナ、母の好きだった庭で」


「ぅん!」


よかったよかった!
ほんとの気持ち伝わって…そのときだったエルレナは何かを思い出したようにウィルヘルムに向かっていった
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