ベイビー or ダーリン
青年のジルも今のジルも、どうしてこんなに自身がないんだろう?



それに、さっき言ったジルの言葉も気になる。



《僕の演奏は、上手くないんだって》



もしかして、誰かに言われたの?



シャロルは、ジルを追い掛けて、二人の寝室に行った。



「ジル?」



ジルはベッドの布団を被って丸くなっていた。



シャロルは静かにベッドに上がりジルのところに来た。



「ジル・・・どうして、上手くないなんて言うの?」


「・・・・・・・・」


「あたしは、下手だなんて言わないよ。」



そう言っても、首を振るジル。



しばらく、そっとしておいた方がいいのかな?



シャロルは小さくため息を吐くと



「ジル、あたし下にいるね。」



下で、本でも読んでいよう。



そう思い、ベッドから降りようとすると



「きゃっ!」


「行かないで、シャロル・・・」



え?



後ろから抱きしめる腕の力と声の低さが微妙に変わっている。



「ジ、ジル?」


「シャロル、僕といるって言ったでしょ?」



そこにいたのは、先程の5才の姿のジルではなかった。



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