届け
 私ね、そのときすごく嬉しかったんだ。
 だって、あなたの隣の席の女子は、すごく頭いいのに、私に頼ってくれたんだもん。
 席だって少し離れてるのに。
 隣の女子に聞いた方がいいのに。
 私に聞いてくれて、本当に嬉しかった。
 あなたは、勘違いしてる。
 私は、あなたが好き。
 でもあなたは、私の好きな人を勘違いしてる。
 私は、あんな人好きじゃない。
 幼稚園の頃は、あの人が好きだった。
 でも今は、あなたが好き。
 こんなに人を好きになるのはね、あなたが2人目なの。
 小6の時、私は告白したんだ。
 でも振られた。
 それからは、私はあんなに人を好きになることはなかったんだ。
 でもね、今はあなたが大好き。 
 あの時よりももっともっと。大好きなの。
 私の気持ち、少しは気付いてるんでしょ?
 だってあの時。
 私の友達が、私はあなたが好きだって言ってしまった時。
 あなたは信じてなかったね。
 なんとも思ってないって、言ってたね。
 これは私の片思いなんだって、気付いた。
 でも、私はどうしてもあなたを忘れることができなかった。
 もう好きじゃないって思ってても、やっぱりあなたのことが好きで。
 ずっとあなたのことを見てた。
 でも、あなたは私のことを見ていなかったね。
 でも、そんなことがあっても、いつでも普通に接してくれていて。
 これがあなたの優しさなんだって、気付かされた。
 あの時もそうだったね。
 私の友達が紙に私とあなたの相合傘を書いて、黒板に貼って。
 それをあなたが見た。
 でもあなたは笑ってこう言ったね。
 『ゴミ箱の中見てみな。変なこと書いてある紙があるから』
 私はその紙を見た時、もうあなたとは普通に話せなくなるんじゃないかって、すごく不安になった。
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