秀才少年の憂鬱 天才少女の秘密



「……うーん…」



放課後、人気の無くなった理数科教室で、杏里は溜め息と声を漏らした。




「お昼のあの人、一体何だったんでしょうか…」



杏里は、彼の顔は知っていた。確か、人文科首席、総合次席の人だと。

しかし名前は分からなかった。


興味が無かったのも原因だが、もとから人の名前を覚えるのが苦手だったのだ。



「…関わりが無い人だとばかり…」



杏里は机の上でぐーっと伸びをした。


「…今日も疲れました…」


授業自体は苦痛でない。

問題は、取り巻き達。


杏里は総合首席で、もちろん理数科首席でもあるのだが、何が目当てか、常に回りに取り巻き達がいるのだ。



はたから見れば、杏里は人形のように可愛らしい顔立ちをしている。

本人は無自覚だが、原因はきっとそれだろう。




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