秀才少年の憂鬱 天才少女の秘密
「七瀬さん!」
それに構わず杏里は続ける。
「…なんだよ、何度も言わなくても聞こえる」
やがて面倒臭そうに領が答えた。
「七瀬さん、前に私に言いましたよね!」
机に杏里がのり出し、領に言う。
「次のテスト、私に勝つって!」
「は?」
「その勝負、受けて立ちますよ!」
「…!」
そのまま杏里は領を強い瞳で、けれどどこか楽しげな光を宿して見つめた。
「──勝負です、次のテスト、どちらが上か」
それに負けない強い瞳で、領は杏里を見返した。