To my dearly beloved
コッチの気なんて知らずに、嬉しそうな声を響かせるから本当に困りもの。
周りでキャーキャー騒ぐ女には素知らぬ顔で、改札口付近で待っていれば…。
「涼雅、ごめんねー!」
「――遅い。かなり待ったんだけど」
UGGのモコモコなブーツで、ペタペタと小さく走って来た未月を一応は咎めた。
その細い両手に掲げているものを見れば、何をしてたか一目瞭然だけど…。
「ホントごめんね…!
会ってた友達が教えてくれた、限定スイーツに並んでいたら遅くなったの」
「そんなの店ごと呼び寄せ…」
「ヤダ。並んで食べるから美味しいの!」
そんなの店から派遣させれば済むというのに…、やっぱり未月はこう言う。
「…分かったから、帰るよ」
結婚してくれたからには庶民派な彼女の意思を尊重して、手提げの荷物を持つと。
「あ、ソレね。涼雅も抹茶好きでしょ?
今日ご飯食べてから一緒にお茶しようね。たまには甘い物食べて疲れ取らなきゃ!」
「フッ…、サンキュ」
紙袋を見ながら嬉しそうに言うものだから、やっぱり彼女が愛しくて仕方ないが。
買って来てくれた限定スイーツより、もっと甘いモノが目の前に居るとは分からない?
そんな見た目は幼い小悪魔な巨乳ちゃんこそ、俺の大事すぎる奥さんです…。
【RISK・SS★終】