To my dearly beloved
今は何時のトキも幸せに包まれているから…、ソレが幸せすぎて怖いと思うコトもある。
「――んー…?」
「おはよう、蘭…」
ウエスト辺りの重みとくすぐったさを覚えて目を開けば、優しい声が耳元で響いた。
「お、はよう…」
何も纏ってイナイ状況でシーツに包まりながら、彼の腕の中で迎える朝は至上の幸せ。
低血圧で寝起きの悪い私の心ですら、一気にホワイトムスクの香りに誘われるほどに…。
ソレでもぼやける寝惚け眼が覚醒するのは、首筋や瞼など次々に落とされるキスのせい。
「フッ、今日は早く起きれた」
「た、くみ…っ」
ひとつ、ひとつが甘くて、あれほど意識がスパークした夜中の行為を瞬時に思い起こす。
チュ、チュッ…と瑞々しい音が寝室内に響き渡れば、熱の籠った吐息が漏れ出てしまう。
「んっ、…だっ、め」
次第にシーツ内へと忍び込んだ彼のしなやかな指先が、知り得た私の箇所を撫でゆく。
あまりにスマートな動きに朝から攫われまいと、なけなしの理性を振り絞って言えば。
「流石に、このお願いは聞けない」
「っ、やっ、んん――」
返って来た答えはいつもの清涼な声色が熱を帯びているから、私ももうトマラナイ――
「蘭、…綺麗だ」
すべてを兼ね備えていると言っても過言でも無いのが、この世の誰より愛おしいヒト。
何よりも大切な貴方がそう言ってくれるから、また今日も隣で笑って居られるのよ…。
【社長室SS★終】