To my dearly beloved
いつだって本心が掴めなくて、不機嫌になる度に優しく名前を呼ぶ困った上司がいる。
そして見事に許しているのが、いつだって懲りないおバカでドジな部下だったりする。
だってアノ超絶スマイルに勝とうなんて気が起きないし、また好きになるから困るの。
今じゃもう“好き”の度合いが違いすぎて、すっかり嵌まっちゃっているなんて…。
「――鈴ちゃん、寝てる?」
「…ほぇっ!?」
左右へピラピラと大きく骨ばった手が眼前で動くから、目をパチクリさせた私。
あ、やっぱり輝の手って綺麗だなー…。と思ったけど、それは言わないもん。
「ハハッ、なんて声出すんだよ」
「もう、目開けたまま寝るワケないでしょ!」
PCを使っていたり、電卓を叩いている時の手の捌きは本当にドキドキもので。
お手入れしているのかな?と疑問を持つくらい、彼の格好良さを引き立たせている。