To my dearly beloved
付き合うようになって、もっとドキドキしてるのは輝のこの性格のせいだもん。
そんな嬉しさとともにグイッとマグカップを傾けて、温くなったココアを飲み干すと。
仕事中とは違う優しい表情を浮かべる彼氏へ大胆に、ギュッと抱きついてしまった…。
「ねえ、淹れ方教えて?」
「フツーに淹れるだけ」
「ちがうー!」
「お勧めのインスタント・ココア教える」
「もう…!」
こんな“お願い”をすれば教えてくれると思ったのに、またはぐらかされて悔しい。
喰い下がらない私の扱いに慣れている輝は、明らかにこの状況を楽しんでいるけど。
ソファで膝を立てながら彼の首へとギュッと掴まる私も、幸せだなとニヤけてしまう。
「それなら鈴ちゃん、今日も頑張れよ?」
「…輝のヘンタイ」
その言葉の意味が分かっているから、恥ずかしくてさらに首へしがみついていたのに。
「強がっていられるのは、今だけな…」
「っ・・・」
この“誘い”を仕掛けて来るトキの輝の声は、超絶セクシーで何も言えなくなるの。
コレは悔しいから絶対に言わないけど…、俗に言うイケメン上司に絆されているのは。
アイマイな表情と態度で翻弄する彼氏を持つ、ドジでフツーすぎる私です…。
【アイマイ上司SS★終】