君を愛してない・・・
〔ルイス、治療は進んでいるか?〕

〔はい。ラウノ様。〕

〔辛いかもしれないが、頑張るんだぞ。これに打ち勝てば、もうこんな手話をしなくとも、すぐに会話が出来るようになるからな。〕


ルイスはその言葉を聞いて、どんぞこに突き落とされた気がしました。


〔ラウノ様は、私と話すのがそんなに面倒だったのですか?〕

〔そういう意味ではないよ。あなたに早く声を出してもらいたいだけだ。〕


そう言うと、ラウノはすぐに、部屋を後にした。



あぁ、どうして?

どうしてこうなってしまったの?


私の幸せはどこへ行ってしまったの?


治療が始まってからというもの、ラウノはルイスとほぼ会わなくなっていました。


朝早くに寝室を出て、夜遅くに帰ってくるのです。


当然話などろくに出来ません。


ですが、愛する人のためと思い、辛抱しました。


ですが、最近城内で、また噂が流れだしたのです。


それを聞いたラウノの妹のエステルが、ルイスの部屋を訪れました。


〔義姉さま。〕

〔エステル・・・〕


エステルは、久々に見た姉の代わりように驚きました。


エステルは外国に旅行に出かけていたので、しばらくの間、城にいませんでした。


しかし、帰ってくるなり聞いたこともないような噂が、城内で流れているのでエステルは驚いたのでした。


『王子様は姫様に飽き、隣国の姫をめとるのではないか。』



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