君を愛してない・・・
あれから1週間が経ちましたが、ルイスは一向に見つかりませんでした。


誰に聞いても、何も知らないと言うだけでした。


それだけでなく「誰ですか?」と言われる始末。


ラウノは精神的に、もうボロボロの状態でした。



前は、仕事で疲れたとしても、ルイスがいてくれるだけで、心が安らいでいました。


でも今は、そんな存在はどこにもいません。


絶望寸前のラウノを、今度は病が襲いました。


高熱を出し、うなされる日々が何日か続きました。


時には、その熱のせいで心細くなったラウノが、ルイスの幻覚を見ることもありました。


眠りから目が覚めると、ルイスが窓辺に立っているのです。



「あぁ、ルイス・・・戻って、くれたのか。」


聞こえるはずもないのに、声に出して問い掛けるラウノ。



ベッドから出て近づこうとした瞬間


ルイスはゆっくりこちらを振り返りながら消えてしまいました。


「あ!ルイス!!もうどこにでも行ってしまえ!!」
(もうどこにも行かないでくれ!!)


素直に、そう思ったことを言ったラウノ。



届くはずのない声が無残にも、寝室に響き渡ります。



ラウノは辛くて辛くて気が狂いそうでした。


こんな風に、熱を出したことも以前あって、その時はルイスがずっと傍に寄り添い、看病してくれました。



〔ラウノ様、大丈夫です!私が治してみせますわ。〕

〔あなたは本当に心強いな、ルイス。〕



そう言った時、彼女は本当に幸せそうに笑っていました。


だが、最近はどうだ?

満足に顔も見ていなかった気がする。

私は、本当に、夫失格だな。



ラウノは誰にも気付かれないように、そっと枕を濡らしました。



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